バイナリーオプションが日本に本格的に導入されたのは2009年ですが、当初から現行のルールだったわけではありません。
バイナリーオプションは2013年に金融庁による公的規制が導入され、ルールの改正がおこなわれています。
最近、バイナリーオプションを始めた方は「ルールの改正って何が変わったの?」と疑問に感じるかもしれません。
また、過去から現在において、どのようなルール変更がおこなわれたのかを知ることで、取引の仕組みをより深く把握することができます。
そこで今回は、国内バイナリーオプションで実施されたルール改正について解説していきます。
改正前のバイナリーオプションの特徴
改正前のバイナリーオプションの特徴は「とにかくシンプル」でした。
特定の時間までに為替レートが上がるか下がるかを予想するもので、予想が当たれば報酬を受け取ることができます。
一方、予想が外れるとエントリー金額の全てを失ってしまいます。
また、5〜10分程度の短期間に連続して取引(短期取引)できるのも大きな特徴でした。
投資額の2倍程度の報酬を受け取るか、投資額の全てを失うかのシンプルさに加え、連続して取引できることから、大きく儲けることができる反面、多額の資金を短時間で失うリスクもありました。
このような投機性の高さが問題視され、ルール改正が実施されることになったのです。
バイナリーオプションのルール改正の流れ
2012年9月、金融先物取引協会が中心となり、健全な成長を促す商品性の獲得、投資家を保護する措置の模索、取引価格に対する信頼性の確保などを達成するために、「バイナリーオプションワーキンググループ」が設置され、自主規制の検討が始まります。
2013年4月、バイナリーオプションワーキンググループが自主規制に関する最終報告を発表しました。
報告の要旨は、「取引の間隔を2時間以上とすること」、「商品内容や取引のリスクについて説明を徹底すること」などです。
2013年7月、金融庁によるバイナリーオプション規制の導入が決定しました。
正式名称は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」と、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(の一部改正)」です。
同月18日、金融先物取引業協会によって規制に関するガイドラインが発表されました。
2013年8月1日、バイナリーオプションの公的規制が施行され、従来のルールでのバイナリーオプションへの新規参入が停止されます。
その後、国内のバイナリーオプションは、規制後の新ルールに基づいて運用されることになりました。
海外のバイナリーオプション業者が注目される
ルール改正による国内のバイナリーオプションの変化を受け、規制前の従来のルールで取引できる「海外のバイナリーオプション業者」に注目する投資家も現れました。
1口500円程度でエントリーできる手軽さ、1分で取引の勝敗が決まるスピード感、短時間で大きな資金を得られる可能性などが注目の理由です。
一方、日本では金融商品取引法という法律によって、バイナリーオプションを取り扱う業者は登録が義務化されていますが、海外業者の多くは無登録です。
無登録の海外業者でバイナリオプション取引をおこなった結果、損失が生じても返金に応じない、不当に高額な支払いを請求されたなどのトラブルも発生しており、国民生活センターも注意を促しています。
ルール改正によって何が変わったのか?
国内で取引するバイナリーオプションのルール変更により、海外業者で取引するバイナリーオプションと一体何が違うのか?
ここからは、ルールの改正によって国内のバイナリーオプションがどのように変わったのか見ていきましょう。
取引を始める前にテストに合格しなければならない
ルール改正後のバイナリーオプションは、取引を開始するためにテストに合格する必要があります。
テストは主にバイナリーオプションに関する知識を問うものです。
バイナリーオプションに関する知識がない状態で取引を始めると、多額の損失を被るリスクがあることから、試験制度が導入されました。
問題文が正しいか誤っているかを回答する二択形式で、テストに7割以上正解すると合格になります。
テストを受けることができるのは1日1回なので、不合格になった場合は翌日以降に再度挑戦する必要があります。(テスト方式はバイナリーオプション業者によって異なります)
試験制度の導入によって、全く知識がない状態で取引をすることによる損失は防げるようになりましたが、その反面、バイナリーオプションに興味のある方の新規参入の難易度は上がったとも言えます。
短期間での判定が規制された
ルール改正後のバイナリーオプションでは、一度、判定をしてから次の判定をおこなうまで、2時間以上の間隔をあけることが必要になりました。
改正前のルールでは、2分〜10分程度の間隔で次の判定を開始することが可能で、1営業日に100回以上の取引をすることもできましたが、その仕組みがバイナリーオプションの投機性を高めていたと判断され、判定時間の間隔を長くする措置が取られたものです。
ルール改正によって、短期間で多額の損失を被るリスクは下がりましたが、短い時間で大きな利益を得ることも難しくなりました。
総取りが禁止された
ルール改正前は、判定時間中にある価格帯になった場合、バイナリーオプション業者が顧客の投資額を総取りできる「レンジ外」と言う制度が存在していました。
改正によってレンジ外の場合に業者だけが得をする制度が廃止されたことで、投資家の利益の保護が手厚くなりました。
取引方法が増えた
ルール改正後は、バイナリーオプションの取引方法が増えました。
従来のバイナリーオプションは、取引の終了時に為替レートが目標よりも上か下かを予想する「ラダー取引」が主流でした。
ですが、ルール改正後は、取引の終了時にレートが指定のレンジの範囲内かを予想する「レンジインアウト取引」や、取引期間中のレートが指定のレートに到達するかどうかを予想する「ワンタッチ取引」などが登場しました。
まとめ
バイナリーオプションが日本に本格的に導入された2009年ですが、当初のバイナリーオプションはシンプルで、特定の時点までに為替レートが上がるか下がるかを予想することが主流でした。
予想が当たれば短時間で利益を獲得できましたが、予想が外れてしまえば投資額を全て失うことから、投機性の高さが従来の特徴と言えます。
投機性の高さを是正するために、バイナリーオプションは2013年にルール改正がおこなわれました。
金融庁の主導による公的規制によって、投資家を保護するための措置が導入されています。
新規取引を改正するための試験制度や、取引期間の2時間以上の制限などの措置によってリスクが低下した反面、短期間で大きな利益を得ることは従来よりも難しくなりました。
ただし、先程も述べた通り、全ては投資家の保護を考えてのルール改正ですが、従来のルールに近い感覚で取引できる海外のバイナリーオプション業者に注目が集まっていることも事実です。
今回紹介した情報で、バイナリーオプションのルール改正を理解していただければ幸いです。