ボリンジャーバンドとは、アメリカ合衆国の投資家であるジョン・ボリンジャー氏によって考案されたテクニカル指標で、トレンド状態や相場の変動率を指すボラティリティを見ることができます。
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心として「+2σ・-2σ」や「+1σ・-1σ」など、標準偏差を元に算出された線によって構成されています。
標準偏差とは一定期間中の数値のばらつきがどれだけ大きいかを示す数値となり「σ(シグマ)」で表されます。
+σと-σでバンドを形成し、その幅にあたる部分が一定期間中のボラティリティとなりますが、バンド幅の膨張や収縮に注目することで変動の大きさを判断することができます。
ボリンジャーバンドをMT4に設定する方法
為替取引をおこなう上でテクニカル分析に欠かすことのできないプラットフォームといえばMetaTrader4 (MT4)ですが、表示させておくだけで非常に役立つテクニカル指標のひとつがボリンジャーバンドです。
MT4にボリンジャーバンドを表示させる方法を簡単に説明いたします。
チャートを開いたら、メニューバーの挿入から「インディケータ>トレンド>Bollinger Bands」の順に選択します。
パラメーターを設定できますが、期間についてはデフォルトの20のままでも良いでしょう。
表示移動も0のままで使います。
偏差という項目がバンドを形成する部分となりますが、1と入力すると+1σと-1σの上下2本が表示され、2を入力すると-2σと-2σが表示されます。
1σと2σを同時に表示したい場合はそれぞれを重複して設定します。
適用価格はCloseのまま、スタイルについては好みで使用してください。
ボリンジャーバンドをどう使うのか?
ボリンジャーバンドには、様々な情報が詰まっており、相場分析に適したツールのひとつです。
トレンドの始まりや終焉を予測できることや、相場の勢いを見ながらトレードをおこなう上で必要な情報をバンドの中に読み取ることができるのです。
トレンドの判定をする
中心を通る線は単純移動平均線(SMA)で、ボリンジャーバンドにおいてはミドルバンドとも呼ばれます。
通常の移動平均線と同様の見かたとなり、傾斜の有無やロウソク足との位置関係でトレンド状態を判定することができます。
上方向に向かって傾斜をした状態で、ロウソク足が線の上側に位置している場合は上昇トレンド状態と判定し、下降トレンドはその逆です。
横ばいに動いている状態は、もみ合っている相場と判断し見送るということになりますが、そのときの現象として上下のバンドが収縮していることが多くなります。
バンド幅で相場の勢いを見る
ボリンジャーバンドはバンド幅を見て相場のボラティリティがわかります。
ボラティリティとは一定期間内で相場がどれだけ変動したのかを示す指標となり、ボラティリティが大きいほど値動きが大きくなり、正しい方向にエントリーすれば利益を生むチャンスも大きくなるということになります。
バンド幅が縮小している期間はボラティリティが低く勢いに欠ける状態で、逆にバンド幅が膨張している期間はボラティリティが高い状態となり勢いが強いと判断することができます。
バンドウォークでエントリーの準備をする
ボリンジャーバンドで形成されるバンドの内側に価格が収まる確率が非常に高いということは良く知られています。
±1σ間に収まる確率は68.3%、±2σ間に収まる確率は95.5%、±3σ間に収まる確率は99.8%です。
高確率を根拠とし、バンドの外側に価格が超えた場合には内側に戻ってくることが期待できるという意味で、逆張りのサインになると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
もみ合い相場であればそのサインとして機能することもありますが、トレンド発生の初動やトレンド状態でバンドタッチがあっても戻ることはなく、ロウソク足がバンドに沿った形でどんどん伸びていくことが多くなります。
この状態がバンドウォークで、非常に安定したトレンド状態と見ることができるので、押し目買いや戻り売りのチャンスを狙える場面なのです。
逆張りは、上手くいけば天底を取れるおいしい方法である反面、リスクの多いトレードであることや、逆張りをするならボリンジャーバンドよりも機能するポイントがあるので、違う方法を検証することが良いでしょう。
スクイーズとエクスパンション
ボリンジャーバンドの大きな特徴はバンドの収縮と膨張のサイクルが見られることですが、収縮した状態をスクイーズ、膨張した状態をエクスパンションと呼ばれています。
スクイーズのときは相場に勢いのない状態でエネルギーを充電している場面となり、充電したエネルギーを一気に放出して勢いのある場面のエクスパンションへ移行するというサイクルを繰り返します。
現在の相場がスクイーズかエクスパンションかで対応は変わってくることになりますが、それぞれどのような特徴があるのか解説いたします。
スクイーズ
ミドルバンドは横ばいとなり、バンド幅も収縮して勢いのないレンジ相場であると判断します。
狙うのはレンジをブレイクしてトレンド形成の初動を捉えることです。
レンジの上限に水平線を引いて待ち構えておけば、ブレイクを察知することができ、その後の押し目買いや戻り売りを狙うことに集中できます。
エクスパンション
ミドルバンドは傾斜をつけて伸びている状態で、バンドも膨張して勢いがあるトレンド相場と判断します。
バンドウォークの最中であれば、継続を期待して押し目買いや戻り売りのタイミングを計りますが、ミドルバンドや±1σで反転することも多く、押し目・戻り目となる場合もあるのでターゲットとしても良いでしょう。
ロウソク足がミドルバンドで反転することなく超えていった場合は、トレンドの終焉の可能性が高まったとしてポジションを持っているなら決済をしておくことが良いかもしれません。
ボリンジャーバンドを利用したトレード方法
ボリンジャーバンドは非常に優秀なテクニカル指標ですが、これだけで勝てるほど相場は甘くありません。
相場環境をどれだけ認識できているかということが重要なポイントとなりますが、ボリンジャーバンドは相場の環境認識をする場合にも効果を発揮します。
環境認識には必ず複数の時間軸を使う必要があり、トレードに使用する時間軸よりも大きなものと合わせて確認することが大事です。
できるだけ大きな波に逆らわない方向にポジションを取るということがリスクを軽減するということになりますので、大きな時間軸に則ったトレードを基本とすることが大きなポイントです。
具体的なエントリー戦略について例を挙げて説明いたします。
1時間足でトレードする場合、日足と4時間足でも環境認識を行いますが、すべての時間軸にボリンジャーバンドを表示させて確認します。
日足と4時間足の両方がエクスパンションしていて方向が同じであればその方向へのエントリーを準備します。
スクイーズであれば、レンジの上限に水平線を引いてその内側で動くものと想定し、水平線までをターゲットとします。
1時間に落として検討しますが、上位足がトレンド状態ならその方向に、レンジであれば1時間でできたトレンドについていきますが上位足のレンジ幅だけのトレードに限定するという戦略です。
ただし、上位足の水平線が近いところでのエントリーは、決済までの距離が近くなり薄利となるので見送るものとします。
1時間足がスクイーズ状態であれば、レンジの上限に水平線を引いてブレイクを待ち、ブレイク後に±1σかミドルライン、もしくはブレイクラインまで戻ってきて反転の兆しがあったところでエントリーです。
1時間足がエクスパンション状態なら、バンドウォークからの押し目・戻り目を狙いますが、±1σかミドルラインまで戻り反転の兆しがあったところでエントリーです。
損切は直近の高値・安値近辺かミドルライン超えで、利益確定は上位足がレンジならレンジ幅に引いた水平線までで、トレンドであれば追従する形でミドルラインを越えてくるまで持ち続けるか、高値・安値を更新するごとに損切ラインも更新していくトレーリングストップを利用するなどいろんなパターンが考えられます。
最後に
以上、ボリンジャーバンドの設定方法から使い方まで具体的な例を挙げてご紹介してきました。
ボリンジャーバンドは相場環境を知ることができる他にエントリーのタイミングを掴むことのできる優秀なツールであることがわかります。
ぜひ、高機能なテクニカル指標であるボリンジャーバンドをトレードに活用してみてください。