移動平均線とは、ある一定の期間における平均価格から算出し線で結んだもので、多くのトレーダーが注目していることから、テクニカル分析として有効なインジケーターとして知られています。
相場の勢いや方向感などを探るという点において効果的で、複数の移動平均線を使用することでよりわかりやすくなるということが特徴的です。
移動平均線とはトレーダーなら誰でも一度は使ったことがある最もポピュラーなテクニカル指標のひとつでしょう。
また、他のテクニカル指標との組み合わせとしての相性が良く、トレードルールの確立にもよく使われています。
売買のタイミングを計るという点においても優れており、トレンド状態での押し目買いや戻り売りなどは移動平均線を利用することでエントリーの目安とすることができます。
移動平均線は、FX、バイナリーオプションの両方で有効活用できるため、この機会に是非とも使い方を覚えましょう。
移動平均線の種類とは?
移動平均線には3つの種類があり、それぞれ違う動きを見せます。
どのようなものなのか種類別に解説していきます。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線は一定期間の終値の平均値を算出して結んだ線となります。
直近の大きな動きに対しては反応が遅れることがありますが、抵抗線として意識されやすいものです。
指数移動平均線(EMA)
指数移動平均線とは、より直近の値動きを重要視するため比率を高め、過去の値動きについては若干軽視して算出したものとなります。
直近のデータを強く反映することから単純移動平均線よりも早く動きだすことが特徴で、トレンド転換など早めの判断をすることができる反面、レンジ相場ではダマシに合う確率も高くなります。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線とは指数移動平均線よりもさらに直近の値動きの比率を高め、過去の値動きについては軽視して算出したものとなります。
指数移動平均線よりもより早く動き出し、ゆるやかなトレンドには良く機能する反面、急激に動いた相場やレンジ相場ではその役割を果たすことはできません。
どの移動平均線を使用すれば良いのか?
移動平均線の種類については、あまり意識する必要はありません。
相場はどう動くのかは誰にもわかりませんよね?
優位性のあるところでエントリーをして、エントリーした根拠が消滅した時点で決済をするということの繰り返しとなります。
移動平均線についても、優位性を確保するためには一貫したデータを元に確証を得ることが重要です。
移動平均線の種類やパラメータにこだわるのではなく、もし、SMAと決めたなら一貫した検証作業をおこない、優位性を高めていく作業が必須となります。
移動平均線も相場に対して機能するときとしないときがありますが、現在機能している相場に対してのみトレードを仕掛けるということも大事です。
どんなテクニカル指標についても同様で、現在の相場に対して機能しているかを確認し、機能していると確証を得たら仕掛ける準備に入り、機能していなければ見送るということになります。
待つという作業もトレードをおこなう上では重要な要素なのです。
移動平均線で大切な傾斜
移動平均線でトレンド状態を判断することができますが、重要なのはその傾斜です。
20~25本程度の移動平均線を利用して確認するとよくわかりますが、例えば上昇トレンド発生時にはロウソク足が移動平均線の上側に位置し、上方向に傾斜をつけて伸びていきます。
トレンドが終盤に差し掛かるとロウソク足が移動平均線の下へもぐりこみ、その後横ばいから下方向へと向きを変えたら転換も近いと判断することができます。
移動平均線に傾斜のない状態ではレンジ相場と見ることができ、難しいトレードを強いられることが予想されるため、見送ることをおすすめいたします。
移動平均線で有効なグランビルの法則
移動平均線を使ったトレードをおこなう場合、避けて通ることができないものがグランビルの法則です。
エントリーのポイントを的確に知ることができるかなりの優れもので、初心者からベテランにいたるまで誰が使ってもその効果を発揮することができます。
具体的には4つの買いポイントと4つの売りポイントを示す合計8つの法則があり、世界中のトレーダーが注視しているところなので知っていて損はありません。
移動平均線とロウソク足はかい離するとくっつく方向へと回帰するという性質がありますが、その性質を利用したものがグランビルの法則で、接近、あるいは接触して離れるタイミングを狙いすましてエントリーするというものです。
4つの買いポイントについて解説していきます。
買いの法則1
移動平均線が下降した後に横ばいか上向きに変化した状態で、ロウソク足の終値で移動平均線を上抜けしたポイント
買いの法則2
移動平均線が上方向に傾斜をしている状態で、ロウソク足の終値で1度移動平均線を下抜けて再度上抜けをするポイント
買いの法則3
ロウソク足が移動平均線の上側に位置している状態で、勢いを落とし移動平均線に近づく下落を見せながら下抜けすることなく再上昇していくポイント
買いの法則4
移動平均線が下方向に傾斜をつけた状態で、ロウソク足も移動平均線から大きくかい離して下落をしている場合、一時的な移動平均線までの反発を狙うポイント
売りの法則は逆の考えになる
売りの法則は買いの法則の逆になります。
トレンド状態での押し目買いと戻り売りのタイミングとしては絶好のポイントとなりますが、移動平均線がしっかりと傾斜している状態で、反発を確実に確認できてからエントリーするということがコツとなります。
グランビルの法則は有効に機能しますが絶対ではないので、FXで取り引きする場合は必ず損切を設定しておくことが重要です。
直近の高値・安値近辺か移動平均線超えというあたりが目安になるでしょう。
3本の移動平均線を使って相場を読む
移動平均線の傾斜が重要であるという説明はいたしましたが、より信憑性を高めるために複数の移動平均線を使用します。
トレードで勝つために重要な要素として相場環境を認識するということがあります。
相場の大きな流れはどちらに向かっているのか、そして現在の位置はどのあたりにいるのかという環境を確認したうえでトレードに臨むことが、勝つために必要な条件のひとつとなります。
相場の大きな流れを捉えるためには、トレードに使用する時間軸よりも大きな時間軸を確認することが大切で、大きな流れに逆らった方向よりも同じ方向へトレードすることが大きな優位性を確保することができるのです。
具体的な例を挙げて説明していきます。
1時間足で25本、100本、600本の移動平均線(25MA、100MA、600MA)を表示します。
1時間足の上位足である4時間足と日足を意識することが目的で、1時間足の100MAは4時間足の25MAで、1時間足の600MAは日足の25MAとなります。
3本とも同じ方向に、例えば上方向に傾斜をつけてロウソク足が3本の移動平均線の上側に位置して動いている場合は強い上昇トレンドと判断して買いでのエントリーを準備することで優位性の高いトレードを実現することができます。
トレンド状態では25MAと100MAが同方向へ傾斜をつけ、接近したりかい離したりを繰り返す相場となり、押し目買いや戻り売りのポイントとなりますが、グランビルの法則を利用するとタイミングをとりやすくなります。
逆に横ばいで絡み合う状態が続くとレンジ相場と判断して見送ることが良い選択といえます。
600MAが斜め上方向に傾斜をつけた状態で、25MAと100MAが斜め下方向に傾斜をつけて進む場合は、買い転換を予期しながら素早い決済をする覚悟を持って売りで入ることも良いですし、買い方向に転換を待ってから入るということでも良いでしょう。
基本的に上位足の流れに逆らわなければ大きく負け越すことはありません。
時間軸を変更しても同様で、トレードに使用する時間軸よりも大きな時間軸を必ずチェックして大きな流れをつかむということがトレードに勝つコツと言っても良いでしょう。
最後に
以上、移動平均線の使い方についての説明になります。
移動平均線の使い方は、多くのトレーダーが意識していることでいろいろ応用が利くもので、エントリーにも決済にも使うことができる便利なツールです。
ぜひ、自分のトレードに組み込んでルールづくりに役立ててみてください。